静岡県島田市の皮膚科 医療法人社団研成会 伊藤医院 【皮膚科・アレルギー科・泌尿器科・美容皮膚科・肛門科】
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 2021年9月7日放映・「ザ!世界仰天ニュース」における「脱ステロイド療法」に関する放映について
投稿:
みなさま、こんにちは。

昨晩、テレビ番組にて「脱ステロイド療法」に関する放映がなされました。
https://www.ntv.co.jp/gyoten/articles/324832soi30yru6ja20.html?fbclid=IwAR1FP-MgyAf8sf5WIlYaTxJiwhTHics6OQL25WauXlGWSy_PmHACeZA47Yw

ステロイド外用薬を使用し続けていないと、顔の皮膚をキレイに保てない状態だった患者さんが、ステロイドを一切断つことで(脱ステロイド療法)、壮絶なリバウンド(皮膚症状の悪化)に耐えながら、1年以上をかけて健常な皮膚を取り戻した、という内容でした。

この放映は非常に問題があると感じております。

まず、この症例での診断名はなんだったのでしょうか?
ステロイドを使うことで悪化しうる病気もあります。
そもそもステロイドを使うことが妥当だったのでしょうか?
そして、ステロイドが十分な効果を示していないのに、担当医がドンドン強いステロイドを使うという選択をなぜしてしまったのか、全く示されていません。

私は、この症例の場合、ステロイドが「悪」なのではなく、問題だったのは「使い方」だったのではないかと想像しています。
例えば、「水」は私達の体に欠かせないものですが、もし摂取しすぎれば、命に関わる「水中毒」になることだってあります。

例えば、ステロイド外用薬を主に使用する「アトピー性皮膚炎の治療」には、様々な科学的根拠に基づいて作成されたガイドラインがあり、大筋はそのガイドラインに基づいて治療が行われております。
そのなかで、ステロイド外用は「治療の基本のひとつ」と位置づけられております。

そのため、あたかも『ステロイド外用薬の使用は「悪」』と誤解を招くような、この度の一方的な放映内容は受け入れ難いものがあります。
80年代にテレビによる「ステロイドバッシング」で、多くのアトピー性皮膚炎の患者さんが、安易な「脱ステロイド療法」を行い、多大な健康被害を受けられました。
実際に過去には、不適切かつ頑なな脱ステロイド療法を行った皮膚科医が、アトピー性皮膚炎の患者さんの症状を著しく悪化させた原因は、治療行為上の過失によると責任を問われています。
テレビ番組の影響力は計り知れず、今回の放映はまさにその二の舞を演じうるものです。
バラエティ番組とはいえ、もう少し内容を吟味し、多角的な内容にできなかったのか、と大変疑問に思います。

この放映については、すでに多方面から多くの批判が集まっています。
決して安易な「脱ステロイド療法」を行わないでください。
テレビ局は決して責任は取ってくれません。

もしステロイド外用薬の使用に不安や疑問を感じられた場合、当院でも近隣の先生でも構いませんので、必ず皮膚科専門医に相談していただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。


2021年9月8日(水)

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