新型コロナウイルスのワクチンについて:その2 |
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先日の続きで、「新型コロナウイルスのワクチン」についてまとめていきます。 2.取り扱いの違い
ニュースなどで、「新型コロナウイルスワクチンは−80℃での保存が必要で大変!」と聞いたことがあるかと思います。 これは、mRNAが非常に不安定で、壊れやすいためです。 様々なタンパク質を作り出す遺伝子情報(設計図)であるmRNAは、細胞の中で必要な時に必要なだけ存在する必要があります。 そのため、用が済めばすぐに分解されてしまうのです。 打ち込まれたワクチンのmRNAも一度は細胞の中に取り込まれますが、しばらくすると分解され、消えてなくなってしまいます。 巷では、「打ち込まれた遺伝子情報がずっと残り続けて悪さをする」といった情報が流れていたりしますが、そのようなことは決してありません。
とはいえ、mRNAが細胞の中に取り込まれる前、ウイルスのタンパク質が作り出される前に、mRNAが壊れてしまっては困ります。 そのため、必要十分なmRNAが細胞に届いて、タンパク質が作り出されるようにする様々な工夫がなされているわけですが、そのすべてが長年の基礎研究で解明された発見・技術に基づいています。 新型コロナウイルスのワクチンは、まさにその結晶と言えます。
3.副反応・副作用の違い
どんな薬にも副作用があるように、ワクチンにも副作用があります。 一番問題になるのはアナフィラキシーショックです。 過剰なアレルギー反応により、呼吸困難、血圧低下など、生命を脅かす症状を呈します。
インフルエンザワクチンでは、ウイルスを増やすために鶏卵を使います。 ワクチン製造の際、卵の成分は取り除かれるわけですが、完全に取り除くのは困難で、わずかながら残ります。 卵アレルギーがある人は注意が必要と言われるのはそのためです。 (余談ですが、インフルエンザワクチンに残存する卵由来の成分は、もともと非常に微量で、さらに最近の技術革新により、さらに量が減っています。 また、卵アレルギーの有無によっては、インフルエンザワクチンによるアレルギー反応の発生率に差がないことが報告されました。 そのため、卵アレルギーがあるからといって、インフルエンザワクチンが打てないということはありません。)
新型コロナウイルスワクチンでは、ポリエチレングリコール(PEG)に対するアレルギーが問題になっています。 新型コロナウイルスワクチンでは、mRNAが細胞内に取り込まれやすくするように、PEGでmRNAを包んでいます。 PEG自体は無害で、様々な工業製品や化粧品、歯磨き粉、さらには下痢止めの薬など、我々の生活の中でも幅広く使われています。 しかし、だからといって、万人に無害とは限りません。 非常に稀ですが、このPEGに対してアレルギーを持っている方もいらっしゃいます。 そのような方では、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるわけです。 また、新型コロナウイルスワクチンでアレルギーを起こす方に、女性が多いことに注目が集まっていますが、これは女性が化粧品を通じてPEGに接する機会が多く、相対的に男性よりもPEGにアレルギーを持つ割合が多いためと考えられています。
しかしながら、ゼロではないとはいえ、アナフィラキシーショックが生じる確率は非常に低いです。 もちろん、こればかりは打ってみないとどうなるかはわかりませんので、絶対的な事は言えませんが、一般的な抗生剤の内服で副作用が生じる確率よりも、新型コロナウイルスワクチンによるアレルギーを起こす確率は低いとされています。 「ワクチンで何例のアレルギー症状が出た」との報道がされていますが、何例に摂取して、何例のアレルギー症状だったのか、どの程度ひどい症状だったのか、肝心の情報が抜けており、ワクチンに対して公正な報道とは言い難いと感じます。
さて、ワクチンでは、副作用とは別に、「副反応」と言われるものがあります。 「副反応」とは、万人に生じる可能性がある、ワクチン接種後の不快な反応です。 新型コロナウイルスワクチンでは、必ずといって筋肉痛が起きるようです。 私も二日間ほど、筋肉痛に悩まされましたが、腕が動かせないほどの痛みではありませんでした。 これはワクチンの成り立ちを考えると、理解できる副反応です。 筋肉の細胞にmRNAを取り込ませて、異物であるウイルスのタンパク質を作らせるので、その筋肉の細胞はいずれ壊されてしまいます。 そう考えると、筋肉痛が生じることこそが、うまくワクチンが働いてくれている証拠なのだろうと思います。
また、2回目の接種では、副反応がより強く出ることが予想されています。 1回目の接種で免疫がつきはじめているので、しょうがないことだろうと思います。
思いの外、長くなったので、続きはまた今度にします。 |
2021年3月26日(金) |
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